【臨床】神経性食欲不振症
今回は、臨床栄養学で出題される「神経性食欲不振症」についてのお話です。
神経性食欲不振症では、患者本人の体型・体重に対する考え方の歪みによって、
摂食行動の異常が引き起こされます。
それでは、神経性食欲不振症の特徴について学んでいきましょう。
神経性食欲不振症の特徴
1.標準体重の-20%以上のやせ
ただ単に、やせているわけではなく、診断基準が設けられています。
標準体重から-20%以上のやせが認められます。
2.食行動の異常
食事量が少ないこと(不食)はもちろん認められますが、
それだけではありません。
反対に、食べ過ぎの状態(大食)に陥ることもあります。
ただし、一時的なものですし、大食後は嘔吐をする傾向があるため、
やはり体重は減少傾向を示します。
3.体重や体型についての歪んだ認識
客観的にみれば、どう考えても痩せているのにもかかわらず、
本人は「自分は太っている…もっと痩せなくては…」
という風に思い込んでしまっているような状態です。
4.発症年齢:30歳以下
若い女性、特に10~20歳代の女性に多いといわれています。
5.(女性ならば)無月経
女性に多い神経性食欲不振症。
極端なやせ、食行動の異常によりホルモンバランスが乱れ、月経が起こらないことも。
6.やせの原因と考えられる器質性疾患がない
器質性疾患…難しい専門用語が出てきましたね。
器質性疾患とは、体の組織に何らかの異常があることが原因で起こる疾患をいいます。
神経性食欲不振症は、別の疾患が原因となって起こっている病気ではありません。
あくまでも、患者本人の「歪んだ認識」が原因です。
したがって、「やせの原因と考えられる器質性疾患がない」という表現が用いられます。
神経性食欲不振症の患者に対する栄養マネジメント
患者本人の「歪んだ認識」が原因なわけですから、
無理やり食事を食べさせても意味がありません。
栄養カウンセリングの技法を活用し、
時間をかけて、適正な食行動へ変化させていきましょう。