【人体】ホルモンの作用機序
今回は人体の構造と機能で出題されるホルモンの作用機序について勉強します。
ホルモンには、血糖値を上げる、血圧を上げるといった様々な作用がありますが、これらの作用はホルモンの分泌と同時に起こるわけではありません。
ホルモンが働く(作用を発現する)ためには、ホルモンの受容体に結合する必要があるのです。
そして、その受容体は、細胞の内部、または細胞膜の表面に存在しているのです。
細胞内(核内)受容体と細胞膜受容体の違い
■細胞内(核内)受容体
ホルモンのなかには、受容体が細胞内、または核内に存在するものがあります。
このような受容体を細胞内(核内)受容体と呼びます。
細胞内受容体を持つホルモンは、脂溶性ホルモンといわれるもので、具体的には甲状腺ホルモンやステロイドホルモンなどが該当します。
■細胞膜受容体
ホルモンの受容体が細胞内ではなく、細胞膜表面に存在するものもあります。このような受容体を細胞膜受容体と呼びます。
細胞膜受容体を持つホルモンは、水溶性ホルモンといわれるもので、具体的にはペプチドホルモンやカテコールアミンなどが該当します。
細胞膜受容体には、作用機序の異なる『Gたんぱく質共役型受容体』、『イオンチャネル共役型受容体』、『酵素共役型受容体』が存在します。
Gたんぱく質共役型受容体の作用機序
細胞膜受容体のうち、国家試験で出題頻度が最も高いのは、『Gたんぱく質共役型受容体』の作用機序です。
具体的にはグルカゴン受容体やアドレナリン受容体が該当しますので、グルカゴンを例にその作用機序についてご紹介します。
グルカゴンには『グリコーゲンを分解し、血糖値を上げる』という働きがありますが、この働きがどのようにして起こっているのかというと、
- グルカゴンが分泌され、細胞膜の受容体に結合
- 受容体に隣接するGたんぱく質が反応し、アデニル酸シクラーゼを活性化
- アデニル酸シクラーゼの作用で、ATPからcAMPを生成
- cAMPによって、グルカゴンの作用(グリコーゲンの分解)が発現
という流れになります。
結果的には、二次的に生成したcAMPがグルカゴンの代わりに作用発現をしてくれるので、cAMPをセカンドメッセンジャーと呼ぶことがあります。
ちなみに、このGたんぱく質共役型受容体は細胞膜を7回貫通する特殊な構造をもっていますので、この構造についても覚えておきましょう。