【基礎】コリ回路/グルコース・アラニン回路
今回は、「コリ回路」と「グルコース・アラニン回路」について整理していきます。
結論からいうと、
- コリ回路:乳酸とグルコースの循環
- グルコース・アラニン回路:アラニンとグルコースの循環
となります。
これらの循環は、「筋肉」と「肝臓」の間で起こる反応であり、運動時をイメージすることで理解しやすくなります。
運動時のからだは、“グルコースが足りない”状態です。
グルコースを補充するためには、貯えておいたグリコーゲンを分解したり、糖質以外の物質からグルコースを作る「糖新生」を行います。
糖新生に利用される代表的な物質が「乳酸」と「アラニン」になります。
それでは、「乳酸」と「アラニン」に注目して、2つの回路を整理していきましょう。
コリ回路:乳酸とグルコースの循環
Ⅰ 運動により筋肉で乳酸が生成
運動により多くの酸素が消費されると、筋肉の細胞内の酸素が無くなり嫌気的条件となります。
嫌気的条件下では、グルコースから「乳酸」が生成します。
Ⅱ 筋肉で生成した乳酸。グルコースに変換するためには肝臓に移動する必要あり
筋肉で生成した乳酸ですが、筋肉の細胞内ではグルコースに変換することができません。
それは、筋肉には、グルコースを作り出す酵素グルコース-6-ホスファターゼがないから。
グルコース-6-ホスファターゼは肝臓に存在する酵素です。
そのため、筋肉で生成した乳酸はいったん血液中へと放出され、肝臓へと移動します。
Ⅲ 乳酸は肝臓に到着後、グルコースに変換される
肝臓へと移動した乳酸はグルコースに変換された後、利用されます。
<まとめ>
【筋肉】グルコース→乳酸
【血液】移動
【肝臓】乳酸→グルコース
これらの循環を「コリ回路」と呼びます。
グルコース・アラニン回路:アラニンとグルコースの循環
Ⅰ 運動により体たんぱく質が分解されアラニン(アミノ酸の一種)が生成
運動により体たんぱく質が分解されると、「アラニン」が生成します。
アラニンの生成は筋肉においてみられます。
Ⅱ 筋肉で生成したアラニン。グルコースに変換するためには肝臓に移動する必要あり
筋肉で生成したアラニンですが、グルコース-6-ホスファターゼがない筋肉の細胞内ではグルコースに変換することができません。
そのため、筋肉で生成したアラニンはいったん血液中へと放出され、肝臓へと移動します。
Ⅲ アラニンは肝臓に到着後、グルコースに変換される
肝臓へと移動したアラニンはグルコースに変換された後、利用されます。
<まとめ>
【筋肉】体たんぱく質の分解により生じたアラニン
【血液】移動
【肝臓】アラニン→グルコース
これらの循環を「グルコース・アラニン回路」と呼びます。
この2つの回路は、「乳酸」「アラニン」という違いはあれど、同じような流れで進んでいく反応となりますので、まとめて整理しましょう。