【基礎】リポたんぱく質リパーゼ/ホルモン感受性リパーゼ
今回は基礎栄養学から体内の脂肪を分解する酵素である『リポたんぱく質リパーゼ』と『ホルモン感受性リパーゼ』について勉強します。
リポたんぱく質リパーゼとホルモン感受性リパーゼは、どちらもトリアシルグリセロール(中性脂肪)を分解する酵素です。
しかし、それぞれの酵素は『働く場所』と『働くタイミング』が異なりますので、そこに注目して整理しておきましょう。
リポたんぱく質リパーゼの働き
リポたんぱく質リパーゼは、血液中のリポたんぱく質に含まれるトリアシルグリセロールを分解します。
トリアシルグリセロールを運ぶリポたんぱく質には、
- キロミクロン(食事由来の脂質を運ぶ)
- VLDL(体内で合成された脂質を運ぶ)
が存在しますので、リポたんぱく質リパーゼはキロミクロンやVLDL中のトリアシルグリセロールを分解することになるんですね。
ちなみに、キロミクロンやVLDLが血液中に増加するのは『食後』なので、当然リポたんぱく質リパーゼが働くタイミングも『食後』といえます。
分解されたトリアシルグリセロールは、脂肪組織に取り込まれ、貯蔵用のトリアシルグリセロールとして蓄えられることになります。
これがいわゆる『太った/体に脂肪が付いた』という状態です。
■ホルモンとの関わり
このリポたんぱく質リパーゼの働きですが、インスリンというホルモンによって促進される性質があります。
インスリンといえば、『食後』に血液中の糖を細胞に取り込むことで血糖値を下げる働きが有名ですが、糖だけでなくトリアシルグリセロールを取り込むときにも役立っているのです。
ホルモン感受性リパーゼの働き
ホルモン感受性リパーゼは、脂肪組織に貯蔵してあるトリアシルグリセロールを分解します。
蓄えている脂肪が分解される、すなわち『痩せる』タイミングは、もちろん『空腹時』です。
分解されたトリアシルグリセロールは、脂肪酸のかたちで血液中に放出され、他の組織で空腹時のエネルギー(ATP)源として利用されます。
ちなみにこの血中に放出された脂肪酸は、アルブミンというたんぱく質に結合した状態で輸送されていくことになります。
■ホルモンとの関わり
ホルモン感受性リパーゼの働きを促進する主なホルモンはアドレナリンです。
空腹時や運動時などに脂肪からエネルギーを作りたいときは、アドレナリンによってその作用が促進されているんですね。