【臨床】甲状腺機能亢進症/低下症
今回は内分泌疾患から、甲状腺疾患である
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
を勉強していきます。
この2つの疾患は甲状腺の機能異常によって、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になったり、低下したりします。
甲状腺ホルモンには『代謝を亢進させる』働きがありますので、代謝を中心とした症状が出現することが予測できますね。
では、この2つの疾患の特徴を整理していきましょう。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症では、甲状腺の機能が亢進し、甲状腺ホルモンの分泌が過剰となります。つまり、『代謝が上がり過ぎてしまう』イメージです。
その結果、
- 基礎代謝の亢進
- 体重減少
- 頻脈(脈拍数が増える)
- 眼球突出
- 血清コレステロール値低下(消費量の増大)
などの症状が出現します。
注意!甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌は減少する
甲状腺機能亢進症では、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌は減少します。
これはホルモンのフィードバック調節が原因となります。フィードバック調節とは、体内のホルモン濃度を一定に保つために備えられたホルモン分泌の調節システムです。
甲状腺機能亢進症では、
- 甲状腺機能が亢進し、体内の甲状腺ホルモンが過剰になる
- 甲状腺ホルモンの分泌を減らしたい!
- 甲状腺刺激ホルモンの分泌が減少する
という流れで、『甲状腺刺激ホルモンの分泌減少』が起こるのです。
甲状腺機能低下症(橋本病・クレチン病)
甲状腺機能低下症では、甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまいます。つまり、『代謝が下がり過ぎてしまう』イメージです。
その結果、
- 基礎代謝の低下
- 体重増加
- 徐脈(脈拍数が減る)
- 体温低下
- 血清コレステロール値上昇(消費量の減少)
などの症状が出現します。
注意!甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌は増加する
甲状腺機能低下症では、フィードバック調節により、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌は増加します。
具体的には、
- 甲状腺機能が低下し、体内の甲状腺ホルモンが低下する
- 甲状腺ホルモンの分泌を増やしたい!
- 甲状腺刺激ホルモンの分泌が増加する
という流れで、『甲状腺刺激ホルモンの分泌増加』が起こるのです。