【臨床】脂質異常症
今回は、臨床栄養学から「脂質異常症」について勉強します。
脂質異常症とは、血液中の脂質が基準範囲から外れることをいいます。
脂質異常症の診断基準
・血清LDLコレステロール値140mg/dL以上
・血清HDLコレステロール値40mg/dL未満
・血清トリグリセリド値150mg/dL以上
このいずれかに該当すると脂質異常症と診断されます。
脂質異常症は動脈硬化を引き起こす要因となりますので、
これを改善し、動脈硬化を予防するための食事療法について、続いて確認していきましょう。
●総エネルギー摂取量(kcal/ 日)
標準体重kg(身長m2×22)× 身体活動量(軽い労作:25~30、普通の労作:30~35、重い労作:35~)
●脂肪エネルギー比率:20~25%、飽和脂肪酸エネルギー比率:4.5%以上7%未満、コレステロール摂取量:200mg/日未満
●n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
●工業由来のトランス脂肪酸の摂取を控える
●炭水化物エネルギー比率:50~60%、食物繊維の摂取を増やす
●食塩の摂取:6g/日未満
●アルコール摂取量:25g/日以下
魚油に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸は、血中中性脂肪の低下作用、血圧低下作用などがあります。
危険因子を改善する食事療法
●高LDLコレステロール血症の場合
・飽和脂肪酸エネルギー比率:7%未満
・コレステロール摂取量:200mg/日未満
●高トリグリセリド血症の場合
・炭水化物エネルギー比率をやや低めとする
・アルコールの過剰摂取を制限する
・n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす
※高キロミクロン血症の場合は、脂肪エネルギー比率:15%以下とし、中鎖脂肪酸を主として用いる
●低HDLコレステロール血症の場合
・炭水化物エネルギー比率をやや低めとする
・トランス脂肪酸を減らす
また、運動により血中脂質が改善する他、血圧低下、インスリン抵抗性の改善などがみられます。
食事療法や運動療法など食生活の改善を図り、
脂質異常症を改善することが、動脈硬化の予防につながります。