【臨床】鉄欠乏性貧血/巨赤芽球性貧血
今回は貧血について勉強しましょう。
貧血には、いくつかの種類があるのですが、
今回は、「鉄欠乏性貧血」と「巨赤芽球性貧血」の2つについて解説いたします。
鉄欠乏性貧血
その名の通り、「鉄が欠乏して起こる貧血」です。
鉄が減ってしまうと、作ることができる赤血球(ヘモグロビン)の数も減ってしまうため、貧血状態に。
検査指標として、血清フェリチン値や総鉄結合能、不飽和鉄結合能などが存在します。
フェリチンは貯蔵鉄とも呼ばれ、
生体内にどれだけ鉄が蓄えられているかを反映します。
もちろん、鉄欠乏性貧血では、血清フェリチン値は減少します。
ややこしいのが総鉄結合能と不飽和鉄結合能です。
血液中の鉄は、トランスフェリンと呼ばれるたんぱく質と結合して、運搬されています。
このトランスフェリンに注目した指標が総鉄結合能と不飽和鉄結合能です。
簡単にいえば、どちらの指標も、
トランスフェリンに鉄を積み込む余裕がどの程度あるのかを示すものです。
したがって、鉄欠乏性貧血のときには、
総鉄結合能と不飽和鉄結合能ともに増加します。
巨赤芽球性貧血
「正常な血球を作ることができなくなって起こる貧血」です。
原因は、葉酸の欠乏、ビタミンB12の欠乏です。
葉酸もビタミンB12も核酸合成に関わるビタミンですから、
不足すると正常な血球を作れなくなってしまいます。
また、ビタミンB12欠乏が原因となって起こる巨赤芽球性貧血を、
特別に悪性貧血と呼ぶこともあります。
実はこの悪性貧血、特に発症しやすい人がいます。
それは、胃切除後の患者です。なぜでしょうか。
理由は、経口摂取したビタミンB12を吸収するには、
胃から分泌されるキャッスル内因子が必要だからです。
胃を切除してしまっては、
キャッスル内因子の分泌そのものができなくなってしまいますから、
悪性貧血を引き起こしやすくなります。